あなたをこえたくて

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あなたを超えたくて頑張るドワーフ

あなたをこえたくて

ボーンホルンで戦い抜いたMHW

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こんばんはイコッサです。

MHWではバージョンアップ毎に最強と言われた武器が入れ替わってきております。

今回の記事では狩猟笛を例に挙げて最強と言われた武器が各バージョンでどのように変化していったのかを書こうと思います。

 

無印MHWの時代

まず初めに脚光を浴びたのはヘビィボーンホルンでした。

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再序盤の骨武器が最強の座に躍り出たのには訳があります。

MHWではたたきつけ(通称スタンプ)以外のアクションのモーション値が減っており、これを主力として立ち回らなければいけませんでした。

そして旋律を完成させて出せる『演奏攻撃』は大ダメージを奪えたので、旋律を完成させる重要性が高まっていました。

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赤空旋律のヘビィボーンホルンは最強攻撃のスタンプを連打するだけで旋律が完成し、そのまま演奏攻撃に繋げて大ダメージを奪うコンボが得意な唯一無二の笛でした。

その他にもアイスボーンでは倍率1.05の無属性攻撃強化が1.1倍だったという後押しもありましたね。

他武器でも序盤から中盤のモンスターの武器であるジャグラスハッカータイラントブロスといった無属性武器が長い間トップに君臨しました。

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ヘビィボーンホルンの座を脅かしたのはVer2.00で追加されたイビルジョーの笛『ディープヴェロウ』です。

なんと攻撃力924という無属性強化をつけたヘビィボーンホルンよりも上の攻撃力を持っていました。

しかも匠Lv2から白ゲージが出現し、青ゲージしか持たないヘビィボーンホルンでは火力勝負になりません。

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ですが、アイスボーンと違いスキルを盛れないMHWの環境では会心率-30が足を引っ張り、手放しに最強の笛とは言えない状況でしたね。

イビルジョーが出た当時はスキルが貧弱なカイザーαβで達人芸を援用するのは難しく、匠Lv5&超会心会心アップスキルを盛るというのが難しかったのです。

ちなみにこれがカイザーβ一式のスキルです。

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あまりにもスキルが弱いので、シリーズスキルは無視して優秀なパーツを詰め込んだ構成が流行っていました。

よく見たのは以下の構成です。

  • オーグヘルムα
  • ドーベルメイルβ
  • カイザーアームβ
  • オーグコイルβ
  • ドーベルグリーグβ

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こういう構成なので高レベルの匠と会心スキルを両立できず、ディープヴェロウはまだ真価を発揮できませんでした。

本当にヘビーボーンホルンが立場を無くすのは、Ver4.00でナナテスカトリが追加された時です。

新武器のエンプレスドラム炎妃の性能はすごいものでした。

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攻撃力こそヘビィボーンホルンと同値ですが、素で白ゲージがあったため期待値で惨敗します。

さらに素の会心が20%もあり、赤橙旋律なので旋律を揃えやすく、おまけに武器だけで根性のスキルが発動していました。

ここで狩猟笛の王者はエンプレスドラム炎妃になります。

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続くVer5.00ではマムタロト武器の追加実装で『ガイラパイプ睡眠』が登場します。

この武器はエンプレスドラム炎妃と同じ攻撃力を持ちながら無属性のため、無属性強化が乗ってしまうのです。

これでエンプレスドラム炎妃に変わりガイラパイプ睡眠が王者になりました。

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ただし、ガイラパイプ睡眠を手に入れられるかは運が絡むので、実際はエンプレスドラム炎妃が暫定王者だった感は否めません。

そして今まで眠っていたディープヴェロウもここで真価を発揮します。

コラボモンスターのベヒーモスの防具『ドラケンシリーズ』が非常に攻撃的なスキルをもっており、さらに達人芸まで発動しました。

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このドラケンシリーズがディープヴェロウの低い会心率を補い、火力でガイラパイプ睡眠に並び、龍属性が弱点の相手には有利に立つことになります。

こうしてディープヴェロウとガイラパイプ睡眠を双璧として無印MHWが終わります。

 

アイスボーンの時代

アイスボーンでもヘビィボーンホルンからマッドボーンホルンに名を変えて骨武器は活躍します。

しかし、マッドボーンホルンを支えていた要素が幾つか弱体化してしまいました。

例えば・・・

  • 無属性強化の弱体化による無属性武器の弱体化
  • 響音攻撃の追加による演奏攻撃の重要性低下
  • レア度の上昇によるカスタム強化回数の減少

この煽りを受けてマッドボーンホルンは最強の笛というよりも使いやすい笛という立ち位置に収まることになりました。

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とは言えマッドボーンホルンは響音効果の自己強化【速】とパーツ強化を手に入れており、新たな強みを得ました。

そして攻撃力は相変わらず高く、無属性強化と無難な会心率も加味するとナンバー2の火力に収まります。

では火力ナンバー1はどの笛かというと、ディノバルド亜種の笛『硫斬笛パラドーラ』でした。

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この笛はディープヴェロウを更に尖らせたような性能で、最強の攻撃力&匠Lv5で紫ゲージ出現という達人芸運用前提の笛です。

いくらアイスボーンでスキルが盛れるとは言え、匠Lv5&無属性強化&超会心会心スキルというのは厳しいものがありました。

ほとんど生存スキルを入れる余地のない玄人向けの攻撃特化の笛だったんですね。

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この2本の笛以外に目立った活躍をしたのがイヴェルカーナの笛『アイスフィール』でした。

匠Lv1から紫が出る関係で達人芸と相性が良く、火力&スロットも高水準!

さらに調査クエストでよく狩られるナナテスカトリやラージャンの弱点を付けるという隙のなさでした。

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バランス型のマッドボーンホルン、攻撃特化のパラドーラ、氷弱点ならアイスフィールという感じで3本が並び立っていましたね。

そして時は流れVer12.00でムフェトジーヴァが実装され、全ての狩猟笛を過去にする覚醒武器が追加されました。

これまでの狩猟笛は火力で負けていても旋律で差別化できましたが、旋律を自由にカスタマイズできて火力も最強の覚醒武器はあらゆる笛を駆逐しました。

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覚醒武器一強体制はVer13.00のマスターマムタロト実装後も変わっていません。

一応ガイラパイプ睡眠はシリーズスキルが1つ付いているという特徴があり、マムタロト防具と組み合わせてユニークな戦いができるという長所があります。

そして同時期に実装された激昂ラージャンの鬼神電鼓も覚醒武器では真似できないという点でオンリーワンの性能があります。

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問題は雷弱点で緑赤旋律を生かせる敵がいない事ですが・・・。

こういう状況なので現在の狩猟笛最強は覚醒武器であり、その中でもEXカイザーと相性のいい爆破属性がよく選ばれております。

 

個人的に残念だった事

旋律があるため他武器に比べて選択肢の多い狩猟笛ですが、各バージョンの最強狩猟笛を見比べると全て『攻撃力アップ特大』を吹ける笛となっています。

攻撃力アップ特大の効果が武器の基礎攻撃力1.2倍というあまりに絶大なものなので、これ以外は選ばれないんですね。

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まず攻撃力アップ特大を吹けるかで絞り込まれ、そこから取捨選択が始まるという形になっています。

これは様々な旋律が吹ける狩猟笛としてはもったいないことで、いっそ『攻撃力アップ旋律削除』または『全笛に搭載』くらいやってもよかったのかな~と思います。

どうしてMHWアイスボーンは失敗したのか

こんばんはイコッサです。

Steam版のMHWアイスボーンが発売して4ヶ月が経ちました。

だいぶ情報も蓄積し、冷静な評価がされるようになったころだと思いますが、今のアイスボーンの評価はどうなっているでしょうか?

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賛否両論となっていますね。

ちなみにSteamの名作と言われるゲームは『非常に好評』や『圧倒的に好評』となっております。

賛否両論と言えば聞こえはいいですが、実際はもう1ランク落ちると『ほぼ不評』に落っこちます。

そしてsteamの賛否両論に属するゲームはほぼ外れ

映画でもトイストーリーやバックトゥーザフューチャーは90%超えの人が高評価しますよね。

逆にたった50%の人が高評価の映画というのは、駄作の烙印を押されていることが多いです。

名作ってのは万人を感動させるから名作なんだよ!!

★4.5~5で名作映画扱いなら、アイスボーンは★2.5の映画と同レベルという事です。

食べ物で他例を挙げると食べログの★2.5の料理店よ一緒です。

映画だったら見ないし、料理店だったら行かない水準の作品ということですね。

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ちなみに前作の無印MHWは『非常に好評』でした。

非常に好評→ほぼ好評→好評→賛否両論と、アイスボーンはDLCなのに3段階も落っこちてしまっているわけですね。

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好評だった無印のDLCで評価がガタ落ちするという事は『期待されたものを追加しなかった』か『期待されていないものを追加してしまった』かのどちらかしかありません。

今回の記事ではそれを考察していきます。

 

期待されたのに改善できなかったモノ

アイスボーンの値段ですが、なんとDLCなのに5000円近くしました。

これはゲーム1本分の値段に近く非常に強気と言えます。

この値段を取るからには、DLCだからと言ってボリューム不足なんてことは許されません。

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これに関しては無印MHWの事から指摘されていました。

本作は従来のキークエスト方式から任務クエスト方式に変更された影響で、クリアに必須なクエストが激減しました。

本編クリアまでに必要なクエストはたったの25個です。

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そのため本編クリア後にやるエンドコンテンツが魅力的であることが非常に大事になっていました。

MHWのエンドコンテンツは歴戦古龍の調査クエストで装飾品を集めることなのですが、その仕組みが非常にもったいない作りになっていました。

必要な装飾品が軒並みレアに設定されており、レアな装飾品を出そうと思えば選択肢は危険度★3の歴戦古龍の調査クエだけだったのです。

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その結果、モンスターの大部分が無視され、たった5匹の古龍を延々狩り続けるゲームになっていました。

歴戦王というエンドコンテンツもできましたが、歴戦王 = 古龍なので新鮮味はないです。

そもそも古龍自体がクシャルダオラやナナテスカトリのように評価の分かれるモンスターのたまり場なので、強化古龍の中には戦っていて面白くないヤツがいるのです。

その点イヴェルカーナ君は古龍の希望の星!クシャルは帰れ!

無印MHWでこのような問題があっただけに、アイスボーンでは危険度★1~2のモンスターにも戦う理由付けがされると期待されました。

しかし調査クエストのシステムは手つかずのままであり、結局危険度★1~2のモンスターは1回戦って終わりというもったいない有様でした。

モンハンではジンオウガのようにパワーで押してくるモンスターと真っ向勝負するのが人気ですが、この辺のモンスターって軒並み危険度★2なんですね。

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そして危険度★3の古龍は魔法のような特殊能力を使うので人気が低いものが多いです。

古龍の中でもネルギガンテやイヴェルカーナが人気なのは『モンハンシリーズは小細工なしにぶつかり合う戦闘スタイルが受ける』という伝統からすると自然なことでした。

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アイスボーンで新たに追加されたエンドコンテンツと言えば『導きの地』がありますね。

これについては時間を稼ぎたいという意図がストレートに凝縮されているばかりで、必要素材を集めたらもうやりたくないとまで言われています。

 

追加アクションが期待されたモノと違った

アイスボーンになって『クラッチクロー』という要素がアクションに追加されました。

そこから派生する『ぶっとばし』と『傷つけ』の重要さは知っての通りです。

ですが、このクラッチクロー関係が追加されたことで非常に戦闘の自由度が下がり、窮屈なアクションゲームになりました。

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『じゃあ使わなければいい』と思われそうですが、これを使わないと与えるダメージが激減するので、このシステムありきで難易度調整されている節があります。

これを狩りに組み込むと、90秒周期で強制的に『傷つけをしなさい』とシステムに命令されているような状態になります。

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無印MHWの狩りは最初から最後まで自由な時間でしたが、アイスボーンは定期的に『傷つけ』と『ぶっ飛ばし』が挟まってきて窮屈なんですね。

チャージアックスのように無印MHWの時点で『儀式』がある武器は、さらにフリータイムを削られることになりました。

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ガンランスの起爆竜杭が最も顕著ですが、アイスボーンのスタッフは新要素をとにかく強化して使わざるを得ない状況に持っていくというやり方を取るようです。

クラッチクローを無視できる徹甲榴弾や属性弾を撃てるボウガンに人気が集中しているのも、こういう点にうんざりしたユーザーが増えているからかもしれません。

 

こうなるのも仕方ないかもしれないという擁護

MHWの高評価は新しい試みにチャレンジしたことを評価し、粗削りだった部分は次回作でより良い形になるだろうという期待も含めての事でした。

しかしアイスボーンはその期待を裏切り、調査クエストなど修正を期待された部分は放置し、クラッチなど追加した部分は全て蛇足とみられてしまいました。

結果として前作とは打って変わった低評価がされてしまったんだと思います。

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実はMHWを作ったチームは過去にMH4を作っており、MH4MH4Gで全く同じ現象が起きていました。

MH4MH4Gは実質的にMHWの前作と言っていいほど似ています。

  • 調査クエストの元になったギルドクエス
  • カスタム強化の元になった極限強化
  • 歴戦個体の元になった凶竜ウィルス

MH4も無印では『粗削りだけどより良いモノになっていくだろう』と期待されて高評価されたゲームでした。

しかし続編のMH4Gでは改善してほしい部分を放り投げて、抗竜石と極限状態という面倒くさいだけの要素を追加しました。

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追加要素が面倒くさいだけ・・・というのはこのスタッフのお約束のようなものなのです。

別のチームが作ったMHXでは真っ先に『極限状態は続投しません』と言われたほどです。

MH4Gも悪いゲームじゃないと思うのですが、やっぱり賛否両論であることは否めません。

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何故こうなるのかというと『ゲームの出来は続編の売り上げに影響する』からだと思います。

MHWMHXXが良作だからこそ期待を込めてたくさん売れ、MHWアイスボーンはMHWが良作だからこそ売れたと考えます。

この場合、良作を作り続けるなら問題ないんですが、MH4Gやアイスボーンのような賛否両論だったゲームの次回作は大変です。

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ユーザーは前作の評価を大事にするので、どうしても色眼鏡で見てしまいます。

この辺の事情は評価の低いロックマンX7の次に作られたロックマンX8が名作でも売れなかったあたりで明白ですね。

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しかし、チームとしては自分が作ったゲームの売り上げが評価になります。

そのためMH4Gが売れれば、別のチームが作った次回作MHXの売りが振るわなくてもMH4Gのスタッフは責任を感じません。

当然ですが、MH4Gの悪かったところを反省して次回で改善しようという発想は出てこないわけです。

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モンハンを作るチームが交代制というのもアイスボーンの出来に悪影響を及ぼしてしまったと言えるかもしれません。

こればっかりは構造的な問題なのでチームの責任とは言えません。

以上が私の考えるアイスボーンの評価が悪い理由と、その低評価を生み出す構造です。

 

でも好きな人もいる

賛否両論とは50%の人が低評価する一方で、50%の人は高評価をつけています。

実際は高評価の中でも『ギリギリ高評価』とか『すごく高評価』とか分かれていると思いますが・・・。

私も散々アイスボーンのダメな部分をわかってはいるんですが、高評価よりの人間です。

脳内会議で高評価51人、低評価49人くらいのギリギリラインですけどね

色々言いましたが、やっぱりモンハンだからハードルが上がっている部分はあるはずです。

PvEのゲームで発売して数ヶ月たっても人が多いという環境だけでも、このゲームをプレイし続ける理由になると思います。

温度差が生まれる理由

こんばんは、イコッサです。

今回の記事はDQ10にたくさんいるプレーヤー達の『ストーリーの感じ方の違いはどこから来るのか』について書いていきます。

前回の記事ではクオードについて書くと言いましたが・・・それにはこの考えが必要だと思いましたので、こっちを先に書きます。

 

愛着のある種族がプレーヤーによって異なる

私達プレーヤーはゲームを開始してすぐに5種族(私ならドワーフ)に転生し、プレーヤーによってはずっと5種族の姿のままゲームを遊びます。

こういう人は5種族に愛着があると言えそうです。

国勢調査でも人間の姿で過ごしているのは全体の25%くらいという結果が出ており、DQ10のプレーヤーの多くは5種族の姿に愛着があります。

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すぐ人間に戻るプレーヤーは人間に愛着があると言えそうですが、流石に人間の次くらいには転生先の種族が選ばれると思います。

表でまとめるとこんな感じになります。

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ここで問題になってくるのはずっと5種族のままでいるプレーヤーです。

彼らは人間の姿でいる期間が非常にも短く、人間にまったく愛着が無い人もいます。

これがストーリーの感じ方や温度差に影響しているのではないでしょうか?

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例えばずっとドワーフでいる私はバージョン4.3のウルベア地下帝国側とガテリア皇国にすごく感情移入しますね。

さらに、私が人間という種族に全然興味なかった場合、事情があってもドワーフ側を滅茶苦茶にしたクオード側には冷たくなってしまいます。

ドワーフ側には感情移入するのに、クオードのことは事務的に捉えてしまうわけですね。

例です、クオード(人間)もちゃんと好きだよ

これはもちろん逆の事も起こっています。

ドワーフに関心が無く、人間に愛着がある場合はクオードの方に感情移入します。

その場合はクオードのやった事を同情的に見る傾向が強くなるのではないでしょうか?

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これらの『温度差』は私達が最初に選んだ種族の違いや、人間で過ごすか過ごさないかによって生まれているのではないかと思います。

 

実際にアンケートを取ってみた

選んだ種族の違いがストーリーの感じ方に影響を与えているかを知るために、ツイッターでアンケートを取ってみました。

ご協力ありがとうございました。

ちょうと200票はいっていてキリがいいですね!

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私が一番違和感を感じたのは、ウルベア&ガテリアを滅茶苦茶にしたクオードに主人公が難色を示さずアッサリ協力する場面です。

特に私は種族がドワーフですから『え?普通そうはならないでしょ?』という場面でした。

こう思うのは私がドワーフだからなのか非常に気になり、皆様には調査に協力してもらったわけですね。

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まずは全体で見た場合ですが、ほぼ五分でした。

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これは予想通りです。

むしろクオードに同情的な人の方がもっともっと多いと思っていました。

そのくらい当時の『おはなし感想広場』には彼に対して同情的な見方が強かった気がするのです。

次は回答者をドワーフに絞ったアンケート結果です。

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ドワーフに限ると全体の2/3がクオードに協力することに違和感を覚えているようです。

ちなみにドワーフの回答者は200人中27名でした。

私のツイッターを見てくれる人のドワーフ割合は13%くらいらしい

やはり少数種族ですので、ドワーフの意見が全体のアンケート結果に影響しているというワケでは無さそうです。

次はドワーフを除外した場合のアンケート結果です。

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ドワーフを除外すると五分の割合に戻ります。

やはりドワーフだけが過半数を上回っており、他の種族を選択したプレーヤーよりもクオードに素直に協力できない心境だったと言ってよさそうです。

選んだ種族が『ストーリーの感じ方や温度差に影響を与えている』部分はありそうですね。

 

どの種族でもストーリーは共通

DQ10はオンラインゲームですので、ストーリーはマルチエンディング形式にできません。

そこで問題になってくるのが上で紹介した『プレーヤーによって愛着を感じる種族が違う』ことです。

アンケート結果を見ると分かるのですが、全ての種族が感情移入して楽しめるようなストーリーを作るのは難しい事がわかります。

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割合で言えば人間で過ごすプレーヤーの数が多いので、言い方は悪いですが人間のキャラクターを贔屓するというのが正解だと思います。

これで損をしていると思うのが、バージョン3の竜族の話です。

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バージョン3はかなりバージョンアップまでの期間が間延びして、おまけにストーリーも『街を救って塔に登って番人を倒して終わり』というほど退屈なものでした。

起承転結で言えばバージョン3.0が起で、3.1~3.3が承、3.4が転、3.5で結という割り振りでしょうか?

とにかく承にあたるバージョン3.1~3.3が長すぎました。

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こういう事があったため、バージョン3の出来については賛否両論あります。

今回の記事のアンケートを参考にバージョン3を見た場合、竜族に感情移入できていないプレーヤーを物語に引き込めていなかったのではないかと思っています。

素直にクオードに協力したくないドワーフ達のようなプレーヤーって、バージョン3のストリーじゃ生まれませんよね。

だってプレーヤーは竜族になれないもん

竜族に感情移入できないまま、兄弟姉妹が気になるからストーリーを追っているという人が多かった気がしますね。

実際は悪くないストーリーだったとは思いますが、プレーヤーが竜族に興味を持つような仕掛けが無かったかな・・・という感じです。

私もオルストフについて調べるまでバージョン3のストーリーは『雑』だと思っていました。

いざ調べると面白かったんですが、わざわざ調べて考察するなんて普通はやりません。

その反省を生かしてか、バージョン5は主人公が魔族になることで『プレーヤーがストーリーに感情移入できない』という問題をうまく解決しましたね。

全プレーヤーを物語に引き込むための工夫です。

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さすがにストーリーに力を入れるというだけはあります!

 

また次回に続く

クオードというキャラからDQ10のストーリーについての話に広がってしまいました。

アンケートまで取ってまた次回に続くんかい・・・と思われそうですが、私にアイデアがある限り続きます!!

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できれば一気に書き上げたかったですが、いっつも長くなるよね~。

デスピサロから学ぶPS版DQ4のテーマ

こんばんは、イコッサです。

前回の記事では悲劇の悪役がなぜ登場するのかを考え、その代表例としてDQ4デスピサロを取り上げましたね。

しかし記事に間違いがありました。今は修正されています。

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私はピサロが人間を根絶やしにしたがる動機を『魔族の王の使命だから』と書きましたが、間違っていました。

どうやら悲劇の悪役フィルターを外そうとするあまり・・・『逆』悪役フィルターが掛かっていたようです。

フィルターを無理やり取り除こうとする者もまた、別のフィルターごしに見てしまうものなのだ・・・。

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って似たような事ニーチェが言ってた。

変な言い訳してすいません!普通に間違ってました!!

でもピサロの悲劇は恋人ロザリーの死なので、動機の部分はあんまり深く考えないでね?

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・・・。

というワケにもいかないので、ピサロというキャラクターをもう一度見つめ直してみました。

すると、彼を通してドラクエ4という作品に対して自分なりの感想が生まれましたので、書いていきます。

 

時系列がわかりにくいDQ4

ドラクエ4は全5章(PS版は6章)に分かれていて、やや時系列がわかりにくいです。

しかし、確実なものがいくつかあります。

  1. ピサロロザリーヒルに住んでいた魔族だった
  2. ロザリーヒルに人間から追われたエルフが逃げてくる
  3. エルフはロザリーと名付けられ、ピサロの恋人になる
  4. ピサロは人間を根絶やしにすることを決意する
  5. ピサロデスピサロと名乗り魔族のリーダーになる
  6. デスピサロ達は勇者の誕生を防ぐために人間の子供を殺害し始める(第1章)
  7. 主人公の村が滅ぼされる(第5章)
  8. ロザリーが(エビルプリーストの計画で)人間に殺害される
  9. 激昂したデスピサロは進化の秘法を使う

こういう流れです。

ピサロが人間を根絶やしにする決意をしたのは一章より前の事で、恋人ロザリーが安全に過ごせる世界にしたいという考えがあったのは間違いありません。

ピサロ自体は最後まで動機を言わないので、推測といえば推測です

一方で、ロザリーヒルのシスターは『ピサロは世界を支配するというとんでもない野望をいだいて出ていったが、ロザリーにだけは笑顔をみせた』と言っています。

デスピサロは地獄の帝王エスタークを王として迎え入れるつもりなので、魔族の王としての名誉や立場にはあまりこだわっていません。

エスタークの下に付く(ナンバー2に降格する)ことを良しとしているわけです。

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PS版でも『ロザリーと一緒にロザリーヒルで静かに暮らしたい』みたいなことを言いますし、彼に世界征服は似合わない気がしますよね。

これは人間を滅ぼすために魔族の王になった(もしくはなる予定)のデスピサロは、世界征服という野望を掲げないと部下のモンスターに示しがつかず、野心的な姿勢を取っていたためだと考えられます。

いくらピサロに人望があったとはいえ『恋人の身の安全のために人間を滅ぼすから従ってほしい』なんて言ったら部下は怒ってしまいますからね。

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そして実際にピサロの恋人優先で魔族の王として未熟な所を直すために荒療治を取ったのがファミコン版のエビルプリーストです。

PS版だと、野心家が下剋上しただけになっていますが、私はファミコン版の方の動機が好きです。

 

ピサロはいつ魔族の王になったの?

1章よりも以前に、ロザリーに人間根絶の野望を語るときはまだ『ピサロ』という表記でした。

そして2章でアリーナたちが出場した武術大会には『デスピサロ』の名前で参加していますので、少なくとも2章より前なのは確実です。

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1章の段階で部下を使って人間の子供を殺害して回っているので、1章より前に魔族の王デスピサロになっていたと考えるのが自然ですね。

ロザリーヒルを飛び出したばかりの魔族の青年がすぐに魔族の王になれるわけもないので、元々魔族のリーダー的な立ち位置にいたのかもしれません。

PS版で仲間に入る時も低レベルなのにすごく強いので、魔族の中でも優秀な血筋だったと言えそうです。

 

ピサロは悲劇の悪役か

前回の記事では『ピサロは悲劇の悪役ではない』と書きました。

確かに虐げられるエルフやマイノリティを救うために人間を滅ぼそうとしている・・・と書くと、彼にも正義がありそうです。

でもデスピサロの悲劇は恋人ロザリーを人間に殺されてしまう所に集約されていますが、これは部下のエビルプリーストの陰謀なんですね。

肝心の『悲劇』がモンスター同士の内輪もめなので悲劇ポイントが低い

しかし、忘れてはいけないのはエニックスの宣伝です。

ピサロファミコン版で既に仲間になる予定でしたが、容量の都合でカットされたそうです。

ロザリーを殺した首謀者を人間ではなくエビルプリーストに設定したのも、ピサロが仲間になった場合に倒す相手が必要だったためだと思いますね。

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実際PS版だとそうなっていますし『ピサロvsエビルプリースト』の構図をわかりやすくするために、ロザリー殺害の動機が変わっています。

もしファミコン版の『ピサロを魔族の王として成長させる』という目的で動いていた忠臣エビルプリーストだったらPS版6章がオカシナ展開になります。

まともな忠臣は上司の恋人を殺したりしない気がしますが、それはエビルプリースト流の忠義の尽くし方だったと思ってください。

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もしエビルプリーストの性格や設定がファミコン版のままでPS版6章のストーリーをやると、彼が進化の秘法を使う動機が変わってきます。

ピサロが進化の秘法で魔族の王として覚醒してほしかった』エビルプリーストが自分自身に進化の秘法を使うからには動機が必要ですね。

ファミコン版だと最後までデスピサロ『様』と言っている

忠臣だったエビルプリーストが5章終了後~6章の間に、何らかの理由でピサロを見限りったことになりますね。

そして『幹部で唯一生き残った自分が王になるしかない』と決意して進化の秘法を使うという話になってしまいます。

これってピサロ的にはあんまり格好良くないですよね

確かにエビルプリーストが過激すぎたのが1番悪いんですが、ピサロは魔族の王として失格だと忠臣に認定されてしまった・・・という歴史が残るのはマズいです。

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これからピサロを悲劇の悪役の美形キャラクターとして売り出したいエニックスとしては、彼のイメージに傷をつけたくありません。

上手くストーリーを作ってピサロに『お前にそんな行動をさせてしまった俺にも責任がある』とか言わせれば、彼のカリスマも上がりそうです。

しかし、子供もプレイするドラクエで難しいやり取りから人間関係を理解しろと求めるのはNGでしょう。

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そうなると、PS版のようにエビルプリーストを野心家の悪いヤツにしておくのがベストだったと思います。

性格はファミコン版よりも小物っぽくなっており、みんなに憎まれて倒される系のテンプレキャラと言った感じに仕上がっていました。

ロザリーを殺したから自業自得なんですが、過激な忠臣キャラという設定を無かったことにされたエビプリも悲劇に見舞われているような気もしますね。

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ところでピサロはよく美形と言われますが、ファミコン版のピサロは美形キャラではなかったそうです。

口調も古風で美形には似合わないものでした。

中世ヨーロッパ貴族風の美形が『ひきあげじゃあ!』とは言わない

ツイッターで頂いた情報によると、ピサロの美形化&悲劇の悪役面の演出強化は発売して数年後に始まったようです。

ファミコン版発売(1990)から3年後のCDシアター(1993)の時代では既に美形の悲劇の悪役キャラになっていたそうですね。

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さすがエニックス!目のつけ処がイイ!

生みの親のエニックスが彼を美形で悲劇の悪役という立ち位置にしたがっているんだから、ピサロは悲劇の悪役で問題ないのだ!

 

なぜPS版6章でピサロは救われたのか

ドラクエ4のプレーヤーで一番意見が割れるのは、やはりPS版で主人公がロザリーを生き返らせて、ピサロが幸せになったことだと思います。

もし主人公に失ったものが無ければこれで良かったと思いますが、自分の村とシンシアを放置して、それを奪ったピサロを先に救済するというのが、あまりに聖人すぎてプレーヤーに違和感を抱かせました。

その違和感はピサロ目当ての客に売るためにPS版6章が作られ、主人公に感情移入しているプレーヤーを無視しているという考えに繋がっていきます。

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この考えも間違っていないと思います。

多分あってます

ですが、ピサロの人生を見直したらPS版DQ4の6章にはもう一つのテーマがあると思いました。

それはDQ4の物語の憎しみの連鎖を断ち切るために、誰かが復讐を止めて拳を下ろさなくてはいけないということです。

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ピサロにはこれができませんでした。

人間に虐げられたロザリーを救うためと言いながら、まだ無垢な人間の子供を殺害して回っています。

この時点でピサロは罪のないロザリーを虐げた人間と同じことをやっているので、同じランクに落ちたと言っていいと思います。

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復讐をする者ばかりになると、世界の知的生命体のランクはどんどん下がっていってしまいます。

この復讐の連鎖を止めるためには、復讐を逆回転させて復讐すべき相手を助けるか、許すしかないというメッセージだったんじゃないでしょうか?

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主人公がピサロを許すことで、ピサロは無抵抗の相手を虐殺するようなランクから抜けだせました。

だったらピサロエビルプリーストを許してやれって?人間を根絶やしにするのやめただけでも進歩です!!

敵を倒すだけじゃなくて時には救ってやらないと、世界は平和にならないんだよ・・・というのが6章のテーマだと思います。

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PS版6章に納得がいかない気持ちはゲーム内の主人公も持っているかもしれませんが、私情を捨てて平和のための行動をとったのかもしれません。

納得がいかない気持ちを飲み込むところまで含めて、DQ4の勇者を体験してほしいというメッセージかもしれませんね!

勇者ってつらいですね。ピサロのように復讐に狂ってしまったほうが楽な生き方だと思います。

私が主人公だったら絶対シンシア生き返らせますけどね

実際は売上優先でストーリーにしわ寄せが来てるだけだぞ!

でも今みたいに妄想していると、納得いかなかった部分もきれいに収まってスッキリするのです。

悲劇の悪役(ただしイケメンに限る)

こんばんは、イコッサです。

悲劇の悪役というものをご存じでしょうか?

例え悪役であっても『同情すべき過去』があったり『悪を成す理由に説得力がある』キャラクターが該当する役割です。

DQシリーズで初登場したのはドラクエ4のピサロでしょうか?

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確かにイケメンでいかにも悲劇の悪役にふさわしいように感じます。

しかし、ここであえて言います。

客観的に見るとピサロは悲劇の悪役ではない

物語の順を追っていきましょう。

 

ピサロの物語

ピサロは最初から人間を根絶やしにするために行動していました。

そして主人公の村を襲い、幼馴染のシンシアを殺害します。

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その後、色々あって勇者の戦力も整った頃、ピサロが大事にしていたエルフの女性ロザリーが人間に殺されてしまいます。

ここでピサロは元々持っていた人間への憎悪を爆発させ、進化の秘宝を使いデスピサロに進化するのです。

確かに恋人ロザリーを人間に殺され、復讐に燃えるというのは悲劇の悪役として十分な資格がありそうですね。

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しかし、実はこの人間はピサロの部下であるエビルプリーストの回し者であり、実態は部下を管理できずに恋人を殺されたという事になります。

なお、エビルプリーストの動機は原作とリメイク版で異なりますが、ロザリー殺害の首謀者がピサロの部下だったという事実は変わりません。

こうなると話がだいぶ変わってきます。

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DQ4の世界でエルフは宝石の涙を流すという設定があり、欲深い人間に狙われていました。

しかし、ピサロが『人間は全て欲深いもの』だと考えて、エルフや他の異種族のために人間根絶に動き出した・・・という動機を語る場面はありません。

元々魔族のリーダーだったピサロが、リーダーとしての使命と恋人ロザリーを守りたいという思いが重なったため、行動を起こしたと私は考えています。

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冷静に見ると、ピサロの悲劇はロザリーにうつつを抜かしていたことを部下に咎められて起こった事・・・と言ってしまえるのです。

この場合、彼は悲劇の悪役でしょうか?

もちろん人間の手で悲劇が起きたのですが、だいぶ悲劇ポイントが低い気がします。

 

それでもピサロは悲劇の悪役だった

1度ピサロが悲劇の悪役と認定されると、その認定は覆りません。

最も不思議なことはDQファンの記憶すらおかしくなることです。

実際は以下のような時系列です

  1. ピサロは人間を根絶やしにすることを決意する
  2. ピサロが主人公の村を滅ぼす
  3. 人間がピサロの恋人ロザリーを殺す

しかし、ピサロ = 悲劇の悪役となった場合、時系列が以下のように逆転します。

  1. 人間がピサロの恋人ロザリーを殺す
  2. ピサロは人間を根絶やしにすることを決意する
  3. ピサロが主人公の村を滅ぼす

後者の展開だと、確かにピサロが悲劇の悪役だと認識しやすいストーリーになります。

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この記憶の改変はどうして起こってしまうのでしょうか?

また、ピサロの恋人ロザリーが最後まで『人間を滅ぼすのはやめて』とピサロに言っていたことも記憶から消滅することが多いです。

 

悲劇の悪役フィルターの存在

この現象を、仮に『悲劇の悪役フィルター』と呼びましょう。

フィルターを通すことで実際の出来事を、悲劇の悪役にマッチングする形で改竄してしまうのです。

キャラクターが実際に悲劇の悪役かどうかは重要ではなく、悲劇の悪役に認定したキャラクターに悲劇っぽい『パーツ』をどんどんくっつけていく事になります。重量オーバーです。

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目的と手段が逆転するわけですね。

いつのまにやら悲劇の悪役にふさわしいストーリーに記憶が書き換わってしまうわけです。

この『悲劇の悪役フィルター』は今に始まったことでは無く、古くは源義経明智光秀にまで遡ります。

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例えば源義経は兄である源頼朝の政策を理解せず、貴族になりたがったことが討伐された原因でした。

武士が武士のまま力を持たなくてはいけないという兄の考えを理解できず、貴族に憧れた(武士の地位向上を考えなかった)のが仲違いの原因だったワケですね。

という説がある

明智光秀も今でこそ改革者信長を裏切った悪いヤツと言われることもある身です。

しかし、江戸時代の芝居では『負けの美学』が盛り込まれた悲劇の主人公として人気だったらしいです。

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私達が『悲劇の悪役を好む』という傾向はずっとずっと昔から変わらず存在しているんですね。

だから本当に悲劇の悪役だったのか?・・・なんて考える方が無粋なわけです。

だって悲劇の悪役がいてほしいんだもん!

そして忘れてはいけないのは、悲劇の悪役は売れる(商業的価値がある)ということです。

ちなみにこれがドラクエヒーローズピサロの説明文です。

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この説明文だとピサロ = 悲劇の悪役で、人間が100%悪いように読めますね。その方が売れるからです。

公式の『ピサロを悲劇の悪役で売って金儲けがしたい』という熱意を肌で感じていただけましたでしょうか?

今も昔も不自然なごり押しは『金になるからやっていること』と考えて間違いありません。

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実体を伴わない悲劇の悪役が出現する理由がわかってきた気がしますね。

悲劇の悪役のストーリーに浸りたい私達と、悲劇の悪役で金儲けがしたい相手でWin-Winの関係が成立するというわけです。

 

ただしイケメンに限る

勘違いしてはいけないのは『悲劇の悪役フィルター』が全てのキャラクターに当てはまるわけではないという事です。

悲劇の悪役なんて物語に星の数ほど転がっています。

しかし、実は悲劇の悪役ではないのに、悲劇の悪役として有名になるキャラには共通点があります。

それは美男美女であること

源義経明智光秀の時点で予測していた人もいるかもしれませんが、結局私達が望んでいるのは『美男美女の悲劇的なストーリー』だったということです。

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実際の義経は不細工だったという説もありますが、実際にどうだったかというのは重要ではありません。

それにドラクエのような創作物の場合、こういう役には美男美女があてがわれるので心配無用です。

もう一度言う、ただしイケメンに限る

だからガテリア皇国の王子ビャンダオはどうがんばっても悲劇の主人公になれないし、クオードはどんな非道をやっても悲劇の悪役と認定されます。

本当はこの記事でDQ10の悲劇の悪役と思われるクオードに繋げたかったのですが、既にかなり長いので次回に続きます!!