あなたをこえたくて

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【ネタバレ】ユアストーリーの感想 ~余計なお世話だ!~

こんばんは!

イコッサです!

公開からだいぶ遅れましたが『ユアストーリー』を見に行ってきました。

今回の記事はその感想を書きますが、ネタバレや批判的なことが含まれます。

まだ映画に行っていない人や、面白かったと思う人は見ないほうがいい記事になります。

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ストーリー(ネタバレ)

ストーリーはドラゴンクエスト5をなぞる形になっています。

2時間とういう短時間に親子3代に渡る物語を詰め込むのは不可能なので、要所要所の改変をしつつも大事なところは抑えていますね。

  • パパスがゲマに殺される
  • ゲマに攫われ大神殿で10年間の奴隷生活
  • 大神殿を抜け出す
  • パパスの意志を継いで母を勇者を探す旅に出る
  • ビアンカまたはフローラと結婚する
  • 生まれてきた息子が勇者

だいたいこういう話です。

ただ終盤に一気にそれまでのストーリーをぶっ壊す要素が出てきます。

いままで主人公が体験していたストーリーはあくまでVRであって、現実世界の人間がユニバーサルスタジオジャパンのような所でドラクエ5のアトラクションで体験している仮想現実だというのですね。

主人公はかつて子供の時にドラクエ5を熱心にプレイしていた大人であり、その思い出が懐かしくて頻繁にアトラクションに通っている一般人です。

私たちドラクエ好きな大人が投影された人物だと言っていいと思います。

アトラクション中は現実世界の記憶が一時的に封印されるそうですが、とあるバグで主人公はここがゲームの中だと気づいてしまいます。

ゲームの思い出を大切にしている人(主人公や私たち)の事を気に入らないハッカーが送り込んだウィルスがラスボスのミルドラースを乗っ取ってしまうのです。

↓こんな感じの無機質な姿になります。

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そして主人公に言うのです。

「どんなにゲームの思い出が大事でも所詮作りものだ」

「こんな所に籠っていないで早く大人になりなさい」

このハッカーというのはゲームが全て悪いものだと考えている親世代や、心無いメディアに置き換えることができると思います。

ゲームのような仮想現実の思い出を大切にする人と、そのような人を攻撃する人という対決の構図になっているわけですね。

でも主人公はこういうことを言います。

「確かにゲームの中の登場人物はいた」

「自分の心に確かにいた」

物事は全て感じ方次第です。

ゲームを夢中でやって、そこに出てくる人物(この主人公で言えばパパス、ビアンカ、息子)や物語を大事にすることはとてもいいことだと思います。

話は変わりますが『水槽の脳』というテーマがあります。

これは今この瞬間が、仮想現実で、実際の自分は水槽にプカプカ浮いている脳みそかもしれない。確かなことなんて何もないというような意味を持つ話です。

大事なのは『それが現実か、それとも仮想現実か?』どうかなのではなく『私にとって大切か、そうでないか?』ということだと思います。

だから主人公の思い出がゲーム内の仮想現実で作られたしても価値のある大切なものなんですね。

その思いを一心に主人公はミルドラースを倒します。

そしてビアンカを見て『これは本物なんだ』と確信してゲームをクリアします。

これがユアストーリーの大筋の話ですね。

 

監督のやりたかったこと

上のストーリーでのザックリと書いてしまいましたが『迫害されやすいゲーマーを肯定すること』だと思います。

ゲーマーというのはとにかく世間から迫害されやすいです。

  • 子供が頭が悪ければゲームが悪い
  • スポーツや音楽の趣味は良いけど、ゲームを趣味にするのは悪
  • 大人になってもゲームなんて子供じみている
  • 犯罪者はゲームをやりすぎて現実との区別がついていない
  • ゲーム脳

あらゆる悪い出来事の原因はゲームのせいだ!全部ゲームが悪いんだ!…なんて風潮がありますね。

そういう事を言われ続けていると、ゲーマーも自然と後ろめたくなっていきます。

ゲームの思い出を素晴らしいものと堂々と言いにくくなっていきます。

これは大きいコンプレックスですよ。なにせ自分が大事にしているものが世間から攻撃され続けるんですからね

そんなゲーマー達の1人をこの映画の主人公として出しているのですね。

そして、監督がやりたかったのは主人公が自分のゲームでの思い出を肯定することで、そこに自己投影していたゲーマーさえも自己を肯定ができるようになることだと思います。ゲーマーのコンプレックスを解消してやることだと思います。

 

でも大きなお世話なんだよね

監督のやりたいことはわかる。

でもハッキリ言うと、大きなお世話なんですよね。

わざわざ監督から言われなくても、私たちはゲームからもらった思い出を大事にしているし、自分の一部だと思っています。

監督に肯定してもらわなくても、そんなことは既にわかっているんですよ。

そもそも『たぶんゲーマーはコンプレックスを抱えているだろうから、自分が作ったドラクエ5の映画を見てもらってコンプレックスを解消させてやろう』なんて上から目線ですよね。

その上から目線っぷりはそれこそ天空の城よりも高いです。

宇宙から見下す勢いですね。

もっと辛辣に言うと、この監督はこんな下らない有難迷惑のために、上等な素材を使ってこんな映画をつくったのか…という感じです。

 

本当にゲーマーを見下しているのは、監督

例えばです。

『有名な指輪物語で、このユアストーリーを同じオチをやったらどうでしょうか?

君たちが子供のころに愛した指輪物語だけど、大人になってそんな思い出は大事にするのも世間体が悪い…なんて思っているでしょう?

安心してください。確かに指輪物語は現実のお話じゃありませんが、あなたの思い出は大事なものだと誇っていいですよ?そう思ってもらうためにこんな映画を作りました。

───なんて言葉を映画監督に言われたら、怒りますよね?

これはハリーポッターでもスターウォーズでも仮面ライダーでも同じです。

誰だって怒ります。

でも監督はドラゴンクエストをやっているようなゲーマーは怒らないと思ったんですね。

監督こそゲーマーを下に見ているという事じゃないでしょうか

 

最後に

じゃあいったいどんな映画だったら納得できたのか、それは色々な人が考えることだと思います。同じ仮想現実を取り扱ったテーマで考えていましょう。

例えばVRドラクエをやりながら、現実世界を生きる主人公がゲームの思い出を武器に日々生活していくとか...。

実はビアンカにもアバターがいて、ゲームが好きな人同士の繋がりをより強く描くとか...。

いくらでもやりようがあったと思うんですよね。

私は最後に本物のミルドラースが出てきて、家族全員のミナデインで倒してもよかったと思いますけどね

でも、そこは素人の考えなので、私はこうやって自分の思いを吐き出して、形にして、そして次の映画を見ることしかできないわけです。

ちょっと良かったことは、こうやってゲームに対する思い出を『わざわざ監督に言われるまでもなく』肯定的にとらえる事ができているんだと認識できたことです。

それと、同じドラクエ10というゲームをやっている冒険者たち、フレンドさん達ともっと関わっていきたいな~という心境になったことです。

これがこの映画の数少ない評価点かな~。

念のため言っておくとCGとか音楽は素晴らしくて、声優も頑張っていた

でも、いちばんの上流工程に位置する監督がアレだと、下流工程のスタッフがいくら頑張ってもどうしようもないよね。